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お知らせ

(機械工学科・研究紹介)機械工学とスポーツって関係あるの!? -ドルフィンキックに隠された渦を見てみよう!!

2024.02.02

 機械工学とスポーツ。一見関係がなさそうですが、「流体力学」の観点で見ると実は関係が深いんです。

 機械工学における流体力学は飛行機や車の設計で大いに活躍します。飛行機や車の形状がちょっと変わるだけで乗り物にかかる空気抵抗が変わってしまいます。その抵抗を解析するのに必要なのが流体力学なんです。

 一方で、スポーツの世界でも抵抗はいっぱい出てきます。例えば、スキーのジャンプ競技はスキー板のちょっとした角度の違いだけで空気抵抗が大幅に変わり、ジャンプの距離も変わります。また、野球のボールの変化球も抵抗の関わりによって生まれるものです。このように機械工学とスポーツは「流体力学」という分野で大きく関わっています。

 ところで、みなさんは競泳に興味はありますか? オリンピックや世界大会では、新記録を達成するためにコンマ数秒の争いになり、それを見ると胸が熱くなりますよね。そんな新記録を達成するための鍵がドルフィンキックなんです。

 ドルフィンキックは競泳における複数の種目で飛び込みとターン後に用いられており、競泳記録に多大な影響を及ぼす泳法です。実はドルフィンキックのひざの角度で推進力と水の抵抗が変わってきます。推進力を上げるためには、ひざを大きく動かす必要があります。その一方で、水の抵抗を小さくするには「けのび」で体をまっすぐにする必要がある。ではどれくらいのひざの角度がベストなのでしょうか?

 このことを調べるために、日本選手権出場経験のある水泳選手のドルフィンキックをしている様子を撮影しました。

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 その様子をコンピュータ上に取り込み、水泳選手モデルを作成します。

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 推進力や水の抵抗をシミュレーションするためには、水泳選手モデル周りに対する水の流れの解析が必要です。そのためには計算メッシュという、流れを捉えるための「センサー」を作っていきます。この網目一つ一つが流れを捉えるための「センサー」になります。実はこの計算メッシュの作成がかなり大変です。今回はセンサーの点数は約200万点です。

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 計算メッシュを作成しやっとシミュレーションを行うことができます。シミュレーション結果として、水泳選手の周りにできる渦の様子を示します。

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 色のついているところに渦が存在しています。実はこの渦が水の抵抗を生み出している原因になっているのです。実際の競泳中に渦に注目している人はあまりいないかもしれませんし、渦を見ようとしても、どれが渦なのかよくわからないですよね。でも、シミュレーション技術を用いると比較的容易に渦を見ることができ、そこから、渦の発生メカニズムがわかるんです。

 では、どの膝の角度がベストなのか!? 興味のある方はこの研究をまとめた論文に書いていますので、ぜひ確認してみてください(*1)。なお、今回ご紹介の研究成果は産業技術短期大学と京都工芸繊維大学エネルギ変換輸送工学研究室との共同研究によるものです。以前ご紹介した空飛ぶクルマの研究の記事もご覧ください(こちらをチェック)

 機械工学科では、今回のような "流れ" を学ぶ「流体力学I」、「流体力学II」、「流れ学」という授業が開講されています。シミュレーションの基礎がまなべる授業「CAE基礎」も開講しております。さらに、データサイエンスを活用してものづくりをおこなう「データサイエンス基礎」「データサイエンス演習」の授業もあります。

 産業技術短期大学機械工学科ではシミュレーションも盛んに行われています。みなさんも一緒にやってみませんか?


*1 本研究に関する発表論文
著者:M. Yamakawa(山川勝史),N. Mizuno(水野徳人),S. Asao(浅尾慎一),M. Tanaka(田中満),K. Tajiri(田尻恭平)
論題:Optimization of knee joint maximum angle on dolphin kick
(ドルフィンキックにおけるヒザ関節最大角度の最適化)
発表雑誌:Physics of Fluids
DOI:https://doi.org/10.1063/1.5142422
公開日:2020年6月3日

*2 機械工学科のカリキュラム
2年間の学びの流れと科目一覧(こちらをチェック)
機械工学科のページ(こちらをチェック) 

お問い合わせ先
産業技術短期大学 入試広報課
E-mail:nyushi@cit.sangitan.ac.jp
TEL:06-6431-7022

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