学生の活動紹介① 『メカジョの尼(あま)いもクッキング』をアップしました。
2018.01.25
「いも」?「クッキング」?
このタイトルに「えっ!!」と思われたことでしょう。
産業技術短期大学では、産業界や地域社会で活躍するために、学生さんの多様な学びを応援するいくつかのプロジェクトを用意しています。
今回は、機械工学科1年生の女子学生(メカジョ)が取り組んでいる「ヒトにも地球にもやさ しい染色プロジェクト」のひとコマを紹介します。
まずは、学生さんの紹介から
佐藤 明日香さん(機械工学科1年生 2017年4月入学 兵庫工業高校出身)
井上 ひなたさん(機械工学科1年生 2017年4月入学 宝塚東高校出身)
ムラサキイモやバラの花びらの色素をもちいて新しい手法で染めた絹布
2人の学生さんは、機械工学科の松原先生とともに、天然物をつかった新しい染色法を研究しています。そのようななか、本学のある兵庫県尼崎市の地域の特産品「尼(あま)いも」をつかって、ヒトの安全や地球環境を守る染色研究をはじめます。
国際シンポジウムでの研究発表
彼女たちは入学直後からプロジェクトに参加していますが、なんと、もう100以上の実験を重ね、いくつかの新しい発見をしています。そして、入学5か月後には国際シンポジウムでその成果を発表しています。国公立大学の大学院生や世界各国の研究者が発表するなか、彼女たちも英語で発表しました。発表するまでは不安のようでしたが、大変苦労して準備し、様々な研究者に研究発表することで大きな自信となったようです。
本学近く(兵庫県尼崎市常吉)で収穫された尼いも
そして、今回「尼(あま)いも」に注目しています。
「尼いも」は、本学がある兵庫県尼崎市の伝統的なサツマイモです。江戸時代中期(1800年前後)からつくられていましたが、1934年の室戸台風や1950年のジェーン台風の被害で絶滅したとのことです。そのようななか、2000年からの尼崎の方々による取り組みで復活しました。
むいた尼いもの皮
尼いもの皮にはアントシアニンと呼ばれる色素が含まれ、鮮やかな紫色をしめします。そこで、「尼いもの皮からとった色素をつかって染色♪」することにしました。調理時に尼いもの皮は捨てられてしまいますが、彼女たちにとっては貴重な材料です。
そこで、尼いもの皮から抽出した色素をつかった染色の実験をお伝えしたいところなんですが・・・皮をむいたあとに「中身(本来食べるところ)がもったいないね」ということで、今回は美味しくいただきましょう・・・というお話です。
尼崎市からたくさんいただいた尼いも
尼いもは、尼崎市の経済環境局さんからご提供いただきました。食べられるのに形がととのっていないなど、売られることのないもったいないイモたちです。
では、尼いもの調理です。まず、研究の主役となる尼いもの皮をむきます。約3日間かかり、皮だけで約8kgになりました。尼いもの皮からの色素抽出ですが、食用色素の製造販売メーカーであるグリコ栄養食品株式会社さんにお手伝いいただきます(染色実験について後日報告します)。
尼いもをカットしている様子
尼いもを揚げている様子
尼いもを適当なサイズにカットし、油で揚げます。
薄くスライスしたものは、揚げたあと、塩味をつけます。
尼いもけんぴをつくっている様子
・・・というわけで、「尼いもチップス」と「尼いもけんぴ」の完成です。
「尼いもチップス」はパリッとサツマイモらしいほのかに甘みのあるお味、「尼いもけんぴ」はカリッとした食感でほど良い甘さに仕上がったみたいです。
~ 学生さんの声 ~
今回は実験で使う尼いもの中身の部分を使って、大好きな芋けんぴを作りました!!染料として皮の部分を使うために、信じられない量の皮をむきました。研究の目標の1つに地球環境への配慮がありますが、準備の段階でもしっかり意識して中身を美味しくいただきました!!
授業の合間をぬって研究を行っていますが、研究発表や企業の方との連携などさまざまな新しい経験をしています。プロジェクトを通じて、研究内容だけではなく、学びの姿勢や目標をどのように達成するのかといった考え方を学んでいます。入学まではとても不安だったのですが、自分の気持ちをしっかり持ち、積極的に行動を起こせばサポートしてくれる人が産業技術短期大学には沢山います。応援して下さる方がいるので、それに応えられるようにも日々頑張っています!!
(佐藤 明日香 さん 機械工学科 1年生 兵庫工業高校出身)
産業界や地域の発展につながる多様な課題に自らが考えて取り組むプロジェクトを通じて、社会で求められる「考えるチカラ」を養います。多様化が進む社会のなか、多様な経験で将来の夢に近づきます。 今回は「尼いも」の調理の紹介ですが、今後は「尼いも」の染色研究やほかの学生たちの活動をお伝えしたいと思います。どうぞご期待ください!