【機械工学科】卒業研修のご紹介 ―「スターリングエンジン」を動力源とした模型車の開発―
2022.08.26
産業技術短期大学機械工学科・竹内誠一教授の卒業研修では、「スターリングエンジン」の設計・開発に取り組んでいます。
スターリングエンジンは、シリンダー内の気体を外部から加熱・冷却することで生じる膨張・圧縮力を利用するエンジンです。太陽熱などの自然エネルギーや、工場からの排熱によっても動作可能なため、エネルギーの有効活用という観点から、近年注目が集まっています。
竹内研究室では、スターリングエンジンを動力源とした模型車を開発しており、2022年11月に開催予定の「第26回スターリングテクノラリー」に出場予定です。今回はその製作風景をご紹介します!
現在、製作中の模型車は2種類。シリンダー内の空気をバーナーで加熱して作動させるタイプと、100℃のお湯で作動するタイプです。バーナーで加熱するタイプはスターリングテクノラリーの「RCクラス」、お湯を使うタイプは「HW(ホットウォーター)クラス」にそれぞれ出場予定です。RCクラスは遠隔操縦で2つのポールを周回させてその走行タイムを競い、HWクラスは市販のミニ四駆コースを3分間走行させ、走行距離を競う競技です。
本格的に製作が始まったのは今年の5月からで、どのようにすれば効率よく熱を動力に変えられるのか、試行錯誤が続いています。
「バーナーを使うタイプは、動かすのは比較的容易ですが、模型車がアクリル製のため加熱できる温度に限界があり,速く走らせるのには工夫が必要です。一方でお湯で動くタイプは熱源が相当に弱いので、いかにそれを無駄なく動力につなげるかを考える必要があります。それぞれに難しさがあります」と、担当の竹内教授は話します。
製作に取り組む学生も「設計段階ではうまくいきそうでも、実際に製作してみるとうまく動かない、ということも多いです」と、難しさを感じている様子です。一方で、「熱効率がよい点で注目されているクリーンなエンジンなので、製作してみたいと思い、この卒業研修を選びました」とも語ってくれました。また「たとえば大型船舶などではエンジンもかなりの大型になります。巨大な乗り物を動かせる、機械の心臓部としてのエンジンそのものに魅力を感じています」と、エンジンに対する熱意を聞かせてくれた学生もいました。
競技本番は11月とまだ少し先ですが、研究室のメンバーは日々試行錯誤をし、完成に向けて頑張っています。なお、バーナーで加熱するタイプ、お湯で作動するタイプの両方とも、エンジン本体が完成したところで、実際に動作させることもできました(下の動画をご覧ください)。
今後の製作や練習風景についても順次ご紹介していきますので、引き続きご注目をよろしくお願いいたします!
■バーナーで加熱するタイプ
■お湯で動作するタイプ
■関連サイト
スターリングテクノラリー公式サイト